2010年5月9日日曜日

オンデマンド vs オンプレミス ~全部クラウドに移っていくの?~

「IT情報マネジメント用語事典」によるとそれぞれの意味は以下のとおりと記載されてます。

オンデマンドとは?
顧客や利用者の注文・要求に応じて、随時必要なサービスや機能を提供すること。ITの世界ではITサービスや機能、ソフトウェアモジュールをユーザーの要望に応じて、ネットワーク経由で柔軟かつ即座に提供することを意味する。

オンプレミスとは?
自社運用、社内設置。情報システムを利用するに当たり、自社管理下にある設備に機材を設置し、ソフトウェアを配備・運用する形態のこと。

「所有」から「利用」へ

よく、SaaSを売りにしているサイトに行くと、このフレーズを目にします。経理の面から見ても面倒くさくなく、SaaSは良いという意見も聞こえます。が、実際は「SaaSにすると結果高くなる」「SaaSも結局信頼おけない」などという意見も良く聞きます。「使ったぶんだけ」というと聞こえは良いですが、所有することよりも高くなるのであれば導入は考えてしまいます。実際そういったサービスも少なくありません。クラウドを採用することでコストメリットを出す事も可能でしょうが、SaaSの可用性をアピールするための冗長構成によりあまりコストメリットを出せてないように思えます。

両者のメリットはもっと別のところに

もっと訴えるべき内容は他にあると思います。

例えばウチの会社で扱っている「MessageLabs ホステッドセキュリティサービス」。(すみません。ここからちょっと営業モードに入ります)これはメールやWeb閲覧の際に、ネットの途中でMessageLabsを経由することでウイルスやスパムを除去して、きれいな状態にして利用することができるサービスです。

アンチウイルスやアンチスパムはパッケージ製品などが多く知られてますが、1日何十億通といったメールがMessageLabsを経由するので、他の製品に比べ、圧倒的に新種のウイルスに対する情報が速いというメリットがあります。また、SaaSはリバースエンジニアリングできないという点もメリットです。ハッカーはウイルスを作る時に、パッケージ製品をリバースエンジニアリングしてそれらを通過するものを作成していると聞きます。そういった意味でもパッケージ製品にはリスクが伴います。また最近ではパッケージ製品もSaaS併存のものが出始めてきています。これらは、不穏なメールは一旦SaaS環境に送って結果を調査して戻す機能が付加されてますが、それなら最初からSaaS環境を経由すれば済む話で、ユーザーとしては余計な手間と回線の負担を増やしてしまいます。パターンファイルのアップデートの必要性もありません。自分のローカルマシンで駆除するわけではないので、マシンのリソース(性能)も無駄にはしません。全ファイルスキャンの中で仕事しなくて良くなります。

話は変わって、例えばPhotoshopのような画像編集ツールはどうでしょう?画像をオンラインで編集するにはサイズを小さくしないと回線の負荷で動作が遅くなります。Ajaxなどを利用してアプリにかなり近づけているツールもいくつか見かけますが、ローカルでできるのに、わざわざネットでやる意味を見出す人も少ないと思います。

といったようにオンデマンドの方が圧倒的にメリットがある製品もあればオンプレミスの方が圧倒的にメリットがある製品もあります。

ざっくりと分けると

・基データがネットに存在する、もしくは簡単にネットに移せる
・高度なエンジニアリングスキルが必要
・技術の進歩が速い、機能追加の間隔が短い
・スケールメリットの恩恵を受けられる
・運営、運用を外部に丸投げできる

こういった場合にオンデマンドの恩恵が受けやすいようです。
(逆の発想をすると、メーカー側は今の市場をこういった要件が必要なように作り変えていけば、クラウドへの転換が速くなると思います)

長くなりましたが、オンデマンドが得意な領域、オンプレミスが得意な領域、共存した方が効率的な領域とありますので、ユーザー側もそれらを見極めて、「なんでもSaaSに移っていく」とか考えずに、メリット・デメリットを意識して使い分けるのが得策だと思います。

あなたの会社では、
SFA はオンデマンドの方がメリットが大きいですか?
グループウェアはどうですか?
オフィスツールはどうですか?
アクセス解析ツールはどうですか?

会社の形態によっても受ける恩恵は違いますので、みなさんのおかれた立場に合わせて考えて見てください。

それでは今日はこの辺で。

おやすみなさい。