2010年6月18日金曜日

アクセシビリティ・ベストプラクティス(その4)

今までの内容についてはこちらを参照してください。
アクセシビリティ・ベストプラクティス(その1)
アクセシビリティ・ベストプラクティス(その2)
アクセシビリティ・ベストプラクティス(その3)

今回は最終回。よくある問題点について綴っていきます。

■よくある問題点とそれを見つける方法

1. CSSを無効にした時に出てくるコンテンツが古い

アクセシビリティ対策で、読み上げツール用に用意した「本文へ移動」などの画面に表示されないリンクや、古いままの文章が残っている事が良くあります。CSSを使用しない場合での目視やツールでのチェックを怠っているとこれらの品質が落ちていきますので、リンクチェックツールの導入での対応をお勧めしています。

確認方法:
・CSSを使用しないモードでのブラウザでの確認
・リンクチェックツールでのリンクチェック


2. 入力フォームをセッション管理していて、その時間が短い

ひと昔前、旅行チケット等を購入しようとして予約画面で入力中に入力必須な情報を調査している内にセッションがタイムアウトして、再度やり直すという経験をした事はありませんか?最近はタイムアウト時間が延びたサイトが多いですが、手が使えない人や目の見えない人は入力に多大な時間を必要とします。そういった方の為にも想定以上に長めのセッション管理をするようにしてください。

確認方法:
・Webサーバー管理者に確認、もしくは入力フォームを30分以上放置してから試してみる


3. 入力フォームを onclick イベントで管理していて、マウスが無い人やJavaScriptをOFFにしている人は先に進めない

これをやると、せっかく入力したのに、データ送信できなくて腹が立ちます。onclick は入力項目チェック程度にして、データ送信はしっかり submit を使うようにしてください。

確認方法:
・JavaScriptをOFFにして入力してみる
 (できない場合は入力フォーム上にその旨をしっかり記載しておく)


4. 全画面Flashで、Flashをインストールしていない人は何も分からない

Flash をインストールしてない人には「Flashをインストールしてください」とだけコメントが出力されるサイトが時々あります。今後は iPad のようにFlashが見えない環境も増えてくると思われますので、Flash対策は早急に進めることをお勧めいたします。


5. JavaScript=ONを必須としている

これも4.同様、「本サイトは JavaScript を使用しています。JavaScript をONにしてご利用ください」とだけ出力されるサイトが時々あります。障がい者向けデバイスは今後も増えてくると思われますので、JavaScriptがOFFの時でもコンテンツは出力されるようにしてください。


6. 印刷すると文字色と背景色が似ていて読みづらい

アクセシビリティは高齢者や障がい者のためだけに対応するものではありません。「アクセシブル」にすることですので、モノクロプリンタで印刷した場合や、単色のディスプレイで見た場合、点字モニタで見た場合など、2値(ONとOFF)で表現するデバイスは多々あります。そういったデバイスでも問題無く見えるようにするためには、まずは印刷画面を見るのが分かりやすいです。印刷してみて読めない場所はありませんか?文字を画像で作っていてALTに説明がないと何も印刷されない場合もありますので、印刷して確認してみることをお勧めします。


いかがでしょうか?
他にもいろいろありますが、弊社で300社以上訪問して確認した時にはこれら全てを対応している企業はほとんどありませんでした。

今あげたチェック項目は、いくつかのチェックツールで自動的に確認できるものです。
まずはこれらをチェックして、体制を構築し、スケジュールとプロセスを決めて、続かない原因を取り除いて、是非ともみなさんのWebサイトでもやってみてください。

質問、ご意見、大募集中です。

それでは。
おやすみなさい。